file3~暑さが残る時期の災害時に注意したい健康ポイント~ – 愛知県中小企業共済協同組合
ドクター柴田のSOSを見逃すな!

file3~暑さが残る時期の災害時に注意したい健康ポイント~

暑さが残る時期の災害時に注意したい健康ポイント

9月1日は「防災の日」でした。これをきっかけに、ご家庭の非常食や飲料水、防災用品を見直した方も多いのではないでしょうか。一方で、9月に入っても厳しい暑さが続いています。この時期の災害では、通常の防災対策に加えて、「健康をどう守るか」という視点も大切です。特に注意したいのが、「熱中症」「感染症」、そして「血管病(血圧・血栓)」です。避難生活や停電、断水によって、これらのリスクは高まります。そして、3つの対策に深く関わるのが「水」です。水分補給だけでなく、衛生環境を保つためにも、十分な飲料水・生活用水を備えておくことが大切です。

熱中症:停電・断水でリスクが高まる

暑い時期の災害で、まず注意したいのが熱中症です。停電によってエアコンが使えなくなったり、断水によって十分な水分が確保できなくなったりすると、その危険性は一気に高まります。避難所では多くの人が集まり、室温や湿度が高くなることもあります。車中泊ではエアコンを止めると、車内温度が短時間で上昇します。のどの渇きを感じる前から、こまめに水分をとることが重要です。

 

 

感染症:飲むだけでなく、清潔を保つためにも水が必要

災害時の水は、飲むためだけのものではありません。手洗いや口腔ケアなど、衛生環境を保つためにも欠かせません。避難所では多くの人が同じ空間で生活するため、感染症が広がりやすくなります。また、水分摂取が不足して尿量が減ると、尿路感染症のリスクも高まります。さらに、豪雨災害などで浸水した場合には、下水や汚水が混じっている可能性があります。できるだけ素手や素足で浸水した水に触れないこと、触れた場合には、できるだけ早く石けんと清潔な水でしっかり洗い流すことが、感染症予防のうえで大切です。そして、特に忘れやすいのが口腔ケアです。水が十分に使えない場合でも、歯ブラシで汚れを落とす、少量の水でうがいをする、口腔ケア用ウェットティッシュを活用するなど、できる範囲で口の中を清潔に保ちましょう。肺炎の予防という点からも、口腔ケアは重要です。

 

血管病:脱水と長時間同じ姿勢に注意

暑さによる脱水は、血圧や血栓に影響します。体内の水分が減ると血液が濃縮し、血圧が変動しやすくなるほか、血栓ができやすい状態になります。さらに、避難所や車内では長時間同じ姿勢で過ごすことも多く、いわゆる「エコノミークラス症候群」のリスクも高まります。十分な水分補給とともに、時々立ち上がる、少し歩く、足首を動かすなど、できる範囲でこまめに体を動かすことも大切です。

 

 

水はどのくらい備蓄が必要?

このように水は「熱中症」「感染症」「血管病」のいずれの対策にも深く関わる、災害時の健康を守る基本です。飲料水は、1人1日3リットル程度を目安に、最低3日分、できれば1週間分を備蓄しておきましょう。

シバタンのバサッ!と解決!!

暑さが残る時期の災害では、熱中症、感染症、そして血圧・血栓などの血管病に注意が必要です。そして、そのいずれの対策にも深く関わるのが「水」です。
1人1日3リットル、最低3日分、まずは水を備えてください。
「水さえあれば守れる健康」もあります。

profile

柴田玲(しばたれい) 福岡県出身 愛知県在住。
内科医(総合内科専門医)・元名古屋大学教授。
生活習慣病・循環器病、再生医療の最前線で豊富な経験を有する。現在は中部電力(株)健康管理室やセントラルクリニックグループにて、個人の診療から企業の健康戦略まで幅広く担い、医学の知見を社会へ実装する取り組みに力を注いでいる。
NHK「ためしてガッテン」をはじめテレビ出演多数。現在は、中京テレビ「キャッチ!」やNHKラジオ第1「夕刊ゴジらじ」の番組コメンテーター、FM愛知「柴田玲のGOOD YELL SUNDAY」のメインパーソナリティーを担当。著書に「痩せりゃいい、ってもんじゃない! - 脂肪の科学」(森永卓郎共著、文春新書)等。