file1〜心の健康を守る方法、心と体のつながり〜 – 愛知県中小企業共済協同組合
ドクター柴田のSOSを見逃すな!

file1〜心の健康を守る方法、心と体のつながり〜

私たちは日々、仕事や家庭、社会の中で多くの役割を担いながら生活しています。その中で「心の健康」を守ることは、個人だけでなく職場や家庭にとっても重要なテーマです。メンタル不調は特別な人だけがなるものではなく、誰にでも起こり得ます。だからこそ、早く気づき、対応するという視点が大切になります。

見逃しやすい心の疲れ

メンタル不調に陥りやすい方には共通点があります。働きすぎのサインを無視してしまう人、自分は大丈夫だと思い込む人、休むことに罪悪感を抱く人です。長時間労働や睡眠不足が続く状態は特に注意が必要で、月60時間を超える残業や睡眠時間6時間未満が慢性化すると、心身への負担は確実に蓄積します。さらに、健康診断で再検査や要受診を指摘されながら放置している場合も、いわば「沈黙のリスク」を抱えている状態です。責任感が強く、仕事を抱え込みやすい人ほど注意が必要といえるでしょう。

予防の基本は「働き方」と「眠り方」の見直し

メンタルヘルスの予防は、日常の見直しから始まります。業務量が過多な場合は個人の努力だけに頼らず、職場として業務配分や環境を調整する視点が不可欠です。そして何より重要なのが睡眠と休養です。「働き方」と「眠り方」は密接に関係しており、睡眠不足は心疾患や脳血管疾患、メンタル不調のリスクを高めます。寝る前のスマートフォンや強い光は睡眠の質を下げるため、就寝1時間前は画面から離れるといった工夫も有効です。

早めの相談が回復への第一歩

ある30代のシステムエンジニアの男性は、慢性的な長時間労働の中でも責任感を持って仕事を続けていました。忙しい状況でしたが、業務はルーチン化されており、強いストレスは感じていませんでした。ところが今季に入り、経験のない新しい業務が加わり、イメージが持てないまま手探りで進める状態となりました。相談相手も分からず、ゴールが見えない状況が続いた結果、体の重さや中途覚醒といった症状が出現しました。幸い、本人が異変に気づき上司へ相談し、医療につながったことで、休職せず働き方を調整しながら回復できました。この事例は、時間外労働だけでなく、精神的な孤立や見通しのなさが重なることで、体調を大きく崩す可能性を示しています。

職場と家庭でできる「支える関わり方」

「何かあったら相談して」と声をかけるだけでは十分とはいえません。職場では定期的な面談や日常的な会話を通じて、業務状況や心理的負担を確認することが大切です。特に新しい業務や環境に適応している時期は、周囲の関わりが大きな支えになります。家庭でも、「最近眠れている?」「疲れていない?」という何気ない問いかけが早期の気づきにつながります。

心と体が出すSOSを見逃さない

心の不調は、まず体の変化として現れることが少なくありません。「眠れない」「食べられない」「疲れやすい」。この3つの“い”が10日以上続く場合、それは心からのサインかもしれません。自分の限界を知り、助けを求める力、いわゆる「求助力」は弱さではなく、大切なセルフマネジメントの一つです。心の健康は個人の努力だけで守れるものではありません。職場、家庭、社会が互いに支え合い、心と体のつながりを理解しながら、早めに気づき、早めに対応する。その文化を育てていくことこそが、これからのメンタルヘルスケアの本質だといえます。

シバタンのバサッ!と解決!!

「眠れない」「食べられない」「疲れやすい」。この3つの“い”が10日以上続く場合、それは心がサインを出している証拠。
そのサインに気づいたら、一人で抱え込まず、周囲の人と支え合い、早期発見・早期対応。それこそが、解決への確かな手がかりなんだ!

profile

柴田玲(しばたれい) 福岡県出身 愛知県在住。
内科医(総合内科専門医)・元名古屋大学教授。
生活習慣病・循環器病、再生医療の最前線で豊富な経験を有する。現在は中部電力(株)健康管理室やセントラルクリニックグループにて、個人の診療から企業の健康戦略まで幅広く担い、医学の知見を社会へ実装する取り組みに力を注いでいる。
NHK「ためしてガッテン」をはじめテレビ出演多数。現在は、中京テレビ「キャッチ!」やNHKラジオ第1「夕刊ゴジらじ」の 番組コメンテーター、FM愛知「柴田玲のGOOD YELL SUNDAY」のメインパーソナリティーを担当。著書に「痩せりゃいい、ってもんじゃない! - 脂肪の科学」(森永卓郎共著、文春新書) 等。